※謙光ですが光謙要素もあります。無理な方ご注意下さい。










「勝っても負けても恨みっこなしやぞ」
「こっちの台詞っすわ。謙也さんこそ泣いても知らんで」

場所は謙也さんの部屋。
ベッドの横に立って向かい合い、ベルトの留具を外しチャックを下ろしたズボンを両手で掴んだまま引き攣った笑顔を浮かべる俺らの様ははたから見たら相当異様やと思う。
何故こんな事になっているのか。話は一時間程前に遡る。



「いい加減、俺ら先に進まへん?」

急にそう言った謙也さんに雑誌から視線を移せば、そこにはいつものへらへらした顔じゃなくてやけに真剣な表情があった。
ベッドに寝そべって多分買ったばっかの雑誌を勝手に読むお邪魔してる側の俺と、部屋主の癖に床に正座してる謙也さん。
なんや変な状況やなと思いながら言われた台詞を思い返す。
俺ら、は俺と謙也さん。そうしたら、先に進まへん?っていうのは多分、そういう事やろうと思って開いていた雑誌を閉じた。
俺と謙也さんは男同士やけど恋人になった。それが三ヶ月前の事。
一応告白してくれたのは謙也さんやけど、多分両想いやろなってのはお互いに感じてたと思う。
けじめとして言葉にしてくれた謙也さんを受け入れたその日に額にキスされた。照れた顔をごまかすみたいにはにかんだ謙也さんをよく覚えてる。
付き合って一週間、初めてデートした帰りに人通りのない道で手を繋いで、キスはそっから更に一週間後。
互いにファーストキスやったからちゅって軽くしただけやけど、俺明日死ぬんちゃうかって位幸せやったんは一生忘れへん、多分。
そんで今日まで、そんな可愛らしいお付き合いが続いてた。
でももう付き合って三ヶ月。謙也さんが言う「先」が何を指すかなんて聞かんくてもわかる。
膝の上で拳を握りしめて固くなってる謙也さんに目線を合わせようと、俺もベッドを降りて床に座った。
びく、と一度身を跳ねさせた謙也さんと視線が絡む。
ドキドキして落ち着かないだろう謙也さんに出来るだけゆっくり話し掛けた。

「それは俺も常々考えてました」
「え、ほんまに?」

ぱっと謙也さんの表情が明るくなる。
単純でわかりやすいのがこの人のええとこやけど、考えが足らんっていう欠点もある。
多分、謙也さんは先に進む前に大きな問題があるって事に気付いてない。

「けど謙也さん、その前に」
「ん?」
「どっちが突っ込んで、どっちが突っ込まれるか決めんと」
「………は?」

途端、謙也さんは目を丸くしてきょとんとした顔になった。
そして徐々に眉根を寄せて前のめりに俺の顔を覗き込んでくる。

「決めるも何も…え?おま、え?」
「やっぱり…当然のように俺に突っ込む気やったんすね」
「あ、当たり前やろ!ちゅーする時やって俺がリードしてたしやな!」
「それは単にあんたのが背高いから自然とそうなっただけやろ」
「光…お、俺に突っ込みたいん、か……?」
「そらまあ俺も男の子なんで好きな人は抱きたいっすわ」

しれっと言い放てば謙也さんは頭を抱えて変な雄叫びを上げ出した。
いくらあんたの家族出掛けてるからって近所迷惑やから止めてもらえます?って言えばうなだれていた頭をばっと上げて涙目で睨まれる。

「やって!光がんな事言い出すなんか夢にも思ってなかってんもん!」
「なんでやねん。俺も謙也さんも男なんやから可能性として十分有り得るやろ」
「…けど、」
「それとも謙也さんは、俺を女の代わりや思て付き合ったん?やから俺に抱かれるなんか考えられへんの?」
「っ、そんなんとちゃう!」

俺の言葉に声を荒げた謙也さんにきつく抱きしめられる。
急な事にバランスを崩した俺は謙也さんに体重を預ける体制になってしまった。
一応背中に手を回すと、肩に埋められた顔がすりすりと擦り付けられる。
なんや大型犬みたいで可愛い。やっぱ抱きたい。

「俺、光やから好きなんやで。女でも男でも、代わりなんかおらへんし!」
「ほんまに?」
「ほんまや!……でも、出来ればやっぱり抱きたい、けど…」

尻窄みにもごもごと言葉を濁す謙也さんに溜息を吐いて、少し身体を離してから向き直る。
そしてこうなるであろうと予想していた上で用意しておいた提案を告げた。

「それは俺も同じなんで、勝負しません?」
「勝負?」
「そう、勝負して勝った方が男役」

出来るだけ笑みが漏れないように、口元を引き締めて謙也さんを見詰める。
謙也さんが勝負に乗りさえすればいい。そうすれば俺の勝ちは決まってる。
そうと知らない謙也さんは視線を泳がせて、一度唾を飲み込んでから再び視線を合わせてきた。

「…わかった、それでええで」

強がる姿に我慢が出来んで、俺は少し笑ってしまった。




そんで今、こんな状況。
謙也さんのズボンを掴む手は少し震えてる。
でも俺は余裕の笑み。当然や。
俺は、この勝負で自分が勝つ事を知ってる。

「ほな行くで…」
「いつでもどうぞ」

さらりと返して数秒後、謙也さんのいっせーの、で二人同時にズボンを下着ごと下ろした。
互いの視線は当然、晒された下半身に集まる。

「な……」
「俺の勝ち、っすね」

ふふんと笑って俺の下半身を凝視したまま固まっている謙也さんを見下ろす。
勝負の内容は「ナニのでかさ」。でかいほうが突っ込む、て事やった。
そして今決着がついた。ほんまにわずかな差やと思うけど、俺の方がでかい。
実は前合宿の風呂ん時に確認したから謙也さんより俺の方がでかいんは知ってた。
やからこそこの勝負を持ち掛けた訳やけど。
謙也さんは信じられへんって顔してまだ固まったまま。
こんな勝負しといてなんやけど、そんなマジマジ見られたら流石に恥ずかしい。

「…もうええでしょ。勝負はついたし進みましょか」
「へ?」
「謙也さんが言い出したんやろ。先に進もか、って」

言いながら謙也さんの肩に手を置いてそっと床に押し倒す。
カーペットふわふわのやつやしそんな痛ないやろ、とこのまま床で進めようとすると謙也さんが僅かに抵抗してくる。

「ちょ、待って光!なんも用意してない!」
「用意ってこれの事?」

学ランの内ポケットからゴムと小さいボトルに入ったローションを取り出したら謙也さんは目を見開いてまた固まった。
一瞬後には顔を真っ赤にして、床に転がったまま上に跨がる俺をキッと睨み付ける。

「なんでんな用意周到やねん!」
「そんなん、いつこんな事なってもええようにやん」
「おおお、俺かて用意位してたわ!そこの棚ん中!!」

謙也さんが指したのはベッドサイドの棚やった。
初めては自分の部屋でちゃんとベッドの上でて、ロマンチストな謙也さんらしい隠し場所。
でも俺は色んな場面を想定してこうして持ち歩いてた訳やから、やっぱ俺の勝ちや。

「もういい加減黙って。雰囲気くらい作ってや…」
「っ、ん…」

ゆっくり顔を近付けて行くと、まだ何か言いたそうにしながらも瞼がそっと下りていく。
それを見届けてから唇を重ねて、舌で入口をなぞった。
ぴくんって跳ねてぎゅって目を閉じる様が可愛いから薄目で眺めて、優しくしたろって強く思う。
初めて同士、上手く出来るかはわからんけど。
キスしたまま謙也さんのシャツのボタンを外していく。
途端目を開けた謙也さんはぎょっとした顔してたけど、もう声を荒げたりはせんかった。

「ひ、光…」
「手、ちょお冷たいかもしれんけど」

気持ち悪かったら言ってな、て言うてから晒された肌に手を滑らせる。
やっぱり冷たいんか、それとも緊張なんか謙也さんの身体が一気に固くなるのがわかった。
脇腹とか鎖骨を撫でて、胸へと手を移す。
色付いた部分をなぞってから尖った中心に触れると、腰が軽く浮いてくぐもった声が漏れて聞こえた。

「ぁ、なっ…」
「ん?」
「くすぐったい、それ」
「慣れたら気持ちいいから」

言い聞かせるように耳元で囁けばふるっ、と身震いする。ほんま犬みたい。
ひくひくすんのが可愛くて耳を舐めながら胸を執拗にいじくったれば謙也さんは面白いぐらい反応を示した。

「あっ、あ、やっ…」
「もう気持ち良くなってきました?」
「ちが、ぁ、も…ちゃうっ」
「でもこっちは固なってんとちゃいます?」

片手を謙也さんのに滑らせればそこは予想通り固く、大きくなっとった。
軽く触れただけやのに声を上げる謙也さんの乱れた姿がもっと見たい。
正直無いわ、と思ってた行為も今なら抵抗なく出来そうと思って身体をずらす。
そして手にした謙也さんのと向き合った途端、思わず大きな声が出た。

「…ええっ!?」
「は、なに…?」

とろんとした目を向けられて、一度そちらを見てからまた下半身を凝視する。
興奮と快感で膨れ上がった謙也さんの。
下から上に少しでも絞ったら蜜の溢れそうなそれは、萎えてる状態とは比べもんにならんぐらいでかかった。
晒されたままやった謙也さんを触って興奮した俺のものと見比べる。
明らかに、謙也さんのがでかい。さっきみたいに僅かな差やなくて、明らかに。
その事実に呆然としてたら身体を起こした謙也さんが不思議そうに顔を覗き込んできた。

「光?」
「…あ、いや……」
「……あ」

しまった、と思った時にはもう遅い。
このまま何も見んかった事にして進めてしまえば良かったのに、俺の視線の先を謙也さんも捉えてしまった。
そして俺のと見比べるように視線が行き来する。
どう言いくるめようか考えてたら不意に身体が宙に浮いた。

「わっ!」
「っ、やっぱ筋肉付いてるから見た目ほど軽ないな」

そして少し乱暴にベッドに落とされる。
文句を言う間も無く覆い被さって来た謙也さんは、少しも余裕のないと言った表情で俺を見下ろしてきた。

「これ、俺の逆転勝ちでええんやんな?俺が光抱いていいねんな?」
「う、え、あ…」
「勝負言い出したん光やもんな?」

まるでこっちの意見なんて聞く暇が無いと言うように謙也さんは間髪いれずに痛いところを突いてくる。
なんとか先程までの体勢に戻ろうと軽く肩を押してみたけど、逆に腕を掴まれてそのままシーツに押さえつけられた。

「光…」
「やっ、謙也さん!?ちょお落ち着いて…せや!やっぱ小さい方が入れる方が合理的、」
「光」

言葉を遮られ、熱い視線で見詰められて喉が詰まる。
普段へらへら笑ってばっかの、謙也さんの真剣な顔。
さっきまで可愛い可愛い思ってたんが嘘みたいに、格好良くてほんまに困惑した。

「俺、絶対光の童貞貰うから。心の準備、ちゃんとする。やからお願い、今は光が俺の童貞貰って?」
「っ…謙也さん……」

どうしようもない位切なそうに、切羽詰まった声でそんな事言われたら。
絶対俺が抱くって思ってた気持ちが、簡単に解れてしまった。
この人なら、相手が謙也さんならどっちでもいいって、そう思ってしまう。
結局俺はこの人にべた惚れなんやと再確認させられて、なんか物凄い悔しい。
でも。

「…わかりました」
「ほんまに?」
「約束やで。俺の初めてもちゃんと貰ってや」
「うん、絶対。約束する」

そう言うと、謙也さんはようやくふわりと顔を綻ばせて笑った。
その笑顔を堪能する間もなく柔らかい唇が降りてくる。
暖かい、って思ってすぐに舌が差しこまれて口内を弄られる感覚に身体が震えた。

「んっ…ぅ、ん…」
「ひかる…あかん、可愛い…」

きっと今謙也さんの頭の中の優しくしようとか、俺を労わろうって気持ちは奥に追いやられてるんやろう。
シャツを脱がそうとする指は乱暴で、後少し力を加えたらボタンが取れてまいそうや。
息を荒くしながらようやく全てボタンを外して、早急に手が肌を這い回ってくる。

「謙也さんの手、熱い」
「お前が冷た過ぎんねん」
「んな事…ぁっ、」

謙也さんの人差し指が胸の突起に引っ掛かって思わず声が上がる。
まさか自分でも弄った事なんかないそこは思った以上に感じる部分らしい。
声を上げた俺に気を良くした謙也さんに集中的に弄られて、身体がぞくぞくしてくる。

「気持ちいやんな?俺もさっき気持ち良かったし」
「んっ、ぁっ…いい、かもしれん…っ」
「…舐めていい?」
「はっ、え?んあっ、」

じゅる、とわざとなのかどうなのか音を立てて胸を吸われる。
まだ良いと返事したわけでもないのにほんまがっつき過ぎ、と思っても抵抗なんて出来る訳無い。
謙也さんの熱くて滑った舌が先端をちろちろ舐めてから、唇で挟んで軽く引っ張られるとほんま予想外に気持ち良くて。
不本意ながら声が止まらん。揺れる腰も、もう抑える事なんか出来んかった。

「光、腰揺れてる」
「ぁっ、は、やっ…」
「うわ…こっちめっちゃ濡れてる…」
「ひぁっ!」

乳首を弄ってた手が片方下に伸ばされて、透明な液が溢れてる先端を握り込まれる。
それだけの刺激やのに全身に電気走ったみたいな感覚に陥って、もう俺は羞恥心とかそんなもんどっかへやってしまった。

「あぁ…あか、謙也さ、んっ…ふぁ、」
「…ひ、光…後ろ、慣らしてええ?」
「も、はよ…はよして…」

初めて人に触られる快感が大き過ぎて早く逃れてしまいたい。
例えそれが痛みでも構わんって思って、自ら大きく足を開いて謙也さんの首に手を回して軽くキスした。
喉が鳴る音が聞こえて、すぐに謙也さんは身体を起こして床に落ちてた瓶を拾って中身を掌に全部垂らす。

「あ、あほ…そんな出したらベッド汚れんで…」
「ええし、洗濯するから」
「けど、っ!」

続けて言おうとした文句は声にならんかった。
謙也さんのローションに塗れた掌がべったりと尻の割れ目を撫でて、指先が伺うように入り口を軽く突いてくる。
俺の顔をちらちら見ながらそれを続けるから、奥歯食いしばって頷いて見せた。
そしたらゆっくりと指が一本中に入ってくる。違和感はめっちゃあるけど、痛くはない。

「う、ううー…」
「痛い?」
「んん、痛くはない…けどなんか、やっぱ変…っ」
「そ、やんなぁ…続けていける?」

不安そうに聞いてくる謙也さんに何度も首を縦に振って見せると、謙也さんはおずおずと指で内壁をくにくに弄りだした。
やっぱり感覚は変で気持ち良くもなんともないけど、謙也さんと繋がるためには必要な行為やと思って我慢する。
柔らかくなってきた入口に謙也さんは二本目の指を入れた。回すように刺激されて、あちこち探るように動く指。
多分前立腺を探してるんやと思うけど、ほんまにこんなとこに気持ちいい場所あるんかって位違和感が消えへん。

「謙也さ、ん…」
「ごめんな。気持ち悪いな。でももうちょい我慢できる?」
「うん…大丈、んぁっ!」

急にびくって身体が跳ねた。謙也さんの指がどこかを掠めた瞬間に今まで気持ち悪い
だけやったんが嘘みたいに気持ち良かった。
自分でも驚いたけど、それ以上に驚いたらしい謙也さんは目を見開いてすっかり動き
を止めてしもてる。
でも俺はその刺激をもっと与えて欲しくて自ら腰を揺すって強請った。

「謙也さ、今のとこ、もっと…」
「き、気持ち良かった?ど、どこ?」
「んんっ…ちんこの裏、辺…はよう、」

我慢出来んって言って見つめれば、謙也さんは慌てて指を動かした。
指は暫く中をさ迷ったけど、、また俺の口からは高い声が漏れる。
そしたら謙也さんも場所を覚えたみたいで執拗にそこばっか擦ってくるようになった。

「ふぁ、ああっ!あか、あかんっ、そこばり気持ちい…っ」
「そ、んな気持ちいん…?」
「んっ、うん、気持ちええっ」

ベッドシーツを握りしめてどうにか耐えようにも快感が大き過ぎる。
もうイく。でも後少しが足りん。
我慢出来んくて自分で自分を握りしめた。
一回扱いただけで溜まってた熱は簡単に解放される。

「ぅあ、あっ、やぁ…」
「っ…びっくりした……」

勢い良く飛び出したそれは俺の腹に散り、謙也さんの手にも少しかかった。
射精した後特有の気怠さに襲われながら息を整えていると、不意に中に入ったままやった謙也さんの指が引き抜かれる。

「ふぁっ…」
「ゴメン光…俺もう我慢できん」

両足の膝裏をおもいっきり持ち上げられて、入口に反り勃った謙也さんが触れた。
改めて見てもでかい。痛そうと思うけど、このでかいのでさっきの場所擦られたら、って考えたら意識せんでも入口がひくついた。

「ん…きて。謙也さんの入れて」
「おま、今日素直過ぎて怖いわ」

自分でも思ってた事を言われ、少しだけ恥ずかしい。
でもさっき謙也さんの可愛いとこ見たからおあいこやって思ってるんかも。
やからこんだけ素直に言えるんや。
自分で膝の裏に手入れて抱えたら謙也さんは少し驚いたみたいに瞬いて、けどすぐに笑ってくれる。

「可愛い、光。たまにはそやって素直んなってな」

汗で張り付いた前髪を指で解かしながら愛しそうに言われ、しっかりと頷いた。
それを合図に、先端が軽く俺に差し込まれる。
途端生じた激しい痛みに閉じていた目を見開いた。

「ぐっ、ああっ!」
「っ、きつ…ひか、ひかる?」
「うあ、ぁ…あかん、そこっ、痛い!」
「え、あ…ごめん、抜く、」
「抜いたあかん、んー…っ」

腰を引こうとした謙也さんの身体に足を巻き付けて阻止する。
正直めっちゃ痛いけど、今抜いてまたこの痛い思いをするぐらいならこのまま続けて欲しい。
でも謙也さんはすっかり怯えてしもたみたいで眉を垂らしただらし無い顔でじっと俺の様子を伺ってる。
足で促しても動く様子はない。でもこのままが一番痛い。多分。

「謙也、さん…奥まで、はよっ」
「けど光、」
「今がいっちゃん痛い!やからはよ、入れてしもて!」
「…、我慢できんぐらい痛かったら言いや」

そう言って、俺の足を掴む謙也さんの手に力が篭った。
次いで、ぐっと腰が押し付けられる。
入口の痛みから逃れたかと思ったら今度は肉を裂かれるような感覚に思わず舌を噛みそうになった。

「ふぅ、んんっ…」
「んっ…めっちゃ狭い…光、」
「はっ、あー…さっきよりマシ、すわ…っ」
「ほんまに?」
「ちょおこれ、慣れるん回数いる…」

なんとか息を吸い込みながらそう言うと、謙也さんは目に見えて落ち込んだ。
そっか、て納得したフリしてるけど落胆してるのは明白で。
やから、出来るだけ余裕なフリして笑みを浮かべる。

「せやから、今日はもう強引にやってしもて」
「え?」
「痛い思いしたのに謙也さんイかせんと終わるとか嫌っすわ。やから動いて」
「光…でも、」
「さっき教えたとこ、出来るだけ意識して擦ってな」

顎を引いて可愛こぶったれば、わかりやすく謙也さんが喉を鳴らす。
ほんまは俺も余裕ないけど、こうでもせんとヘタレで優しいこの人は続きをしようとせんやろうから。
ついでに腰に回した足で軽くつつけば、謙也さんはようやく決心したんかゆっくり腰を引いていく。やっぱ入口が一番痛い。

「くっ、うう…」
「ちょお、荒なんで」
「ぅっ、はあっ、うあっ!」

言葉通り、謙也さんは一気に動きを荒く、早くした。
早く出して終わらせようって魂胆やろうけど、せめて俺のも一緒に扱くぐらいしてくれてもええやんか。
でも俺が謙也さんの立場でも同じように余裕無かったやろな、って考えたら仕方ない。
違和感と痛みを紛らわす為にまた自分自身に手を伸ばして突き上げられるリズムに合わせて扱く。

「あぁっ、ん、はあっ…」
「ひかるっ、なあ…ええとこ当たってる?」
「んっ、んんっ、ちが、もうちょい、手前…ふぁあっ!」

ごり、と不意に擦られたとこが当たりで大袈裟に腰が跳ねた。
何これ、指で弄られるんより全然気持ちいい。
中を行ったり来たりする謙也さんの先端がそこに掠れる度、物凄い快感が生まれて自然と中が伸縮してしまう。

「ひかっ…あっかん、締めすぎ…!」
「あぁっ!やって、うぁっ…も、もっと!そこばっかして、んぁあっ」
「っ、気ぃおかしなっても知らん、でっ」
「ひっ、ぁああっ!」

謙也さんは俺の希望通りにそこを狙って腰を使ってくれた。
あかん、もうちんこ扱く余裕もない。ただひたすら気持ちいい。
痛いのも違和感もめっちゃちっさく感じる位。
そんな快感の中ぎちぎち謙也さんのを締めてたらくぐもった声が漏れてきた。

「やばっ…俺もうイく、っ!」
「ぁ、ややっ、もっ、と…謙也さんもっとぉ!」
「ふっ…なら、んな締めんな…!」
「ひゃああっ、んぁっ!」

がつがつ腰を打ち付けながら謙也さんの上体が覆いかぶさってくる。
唇は胸に、手は下に下りてちょっと乱暴に弄られた。
三点に与えられる刺激に、もうなにがなんだかわからなくなって。
ほんまにおかしなったんかって程俺は乱れた声を上げた。

「ややぁっ!けんやさ、んぁっ!そんなっ、されたっ…イくっ!」
「はっ…そう、してくれ。お前イかせな、俺イかれへんっ」
「いっ、やぁっ…もっと、もっ、あぁああーっ!」
「ん…っ!」

乳首吸われたんと、ちんこの先に指ぐりってされたんと、いいとこ擦られたんが重なって。
もうそこまで押し寄せてた熱いんが一気に外に弾けた。今度は腹が熱い。
中も。謙也さんのが吐き出されたんやって思って、そういやこの人ゴムしてないって気付いた。
そんなんもう今更やししゃあないか、ってぼんやり考えてたら肩に顔埋めて荒い息してた謙也さんがなんとか腕使って起き上がる。

「ひかる…大丈夫か?」
「ん…多分。悪くて下痢っすわ」
「あ、ごめん。ゴム…」
「や、俺も忘れてたんで」

まだ怠い身体を起こして顔を覗き込んでくる謙也さんから顔を逸らす。
精子出して熱が冷めたら途端にさっきまでの羞恥を思い出してとても顔を合わせる事ができんかった。

「…な、光こっち向いて」
「嫌や」
「なあって、」

必死で顔背けとったのに謙也さんが俺の頬っぺたに手かけて無理矢理そっちを向かされる。
一瞬目が合っただけでも恥ずかしくて俯くと、今度は顎に手が添えられて上向かされた。
情事中は余裕なくてあんま見れんかった謙也さんの顔。
ヤった後やからかいつもより妙に色っぽくて、顔がカッと熱くなる。

「…やや、って」
「なんで?ええやん、光の顔近くで見たい」
「散々見たやろ」
「いや、余裕無かったからあんまり」

さっき俺が思ったんと同じ事を言う謙也さんに、少しだけ安心する。
あんな変になってたんは俺だけやないんやって。
したらちゅって軽いキスされて、見れば謙也さんは幸せそうに笑っとった。

「キスもあんまできんかったから、な?」
「…そう、やっけ」
「うん。またしような。今度は光のもっと、に答えれるよう頑張るで!」
「はぁっ!?」

言われた言葉に反応して顔を上げるとそらもうしまりのない顔した謙也さんがにやにや笑っとって。
先程の自分が叫び散らした台詞を思い出して一気に羞恥心が膨らんだ。
きっと顔は真っ赤になってて、それを嬉しそうに眺めてくる謙也さんに無性に腹が立った。

「そんなん言うてへんし!」
「えー言うたやん。謙也さんもっとして、って」
「言うてへん!」
「あ、光そっち向かんといてって。もっかい!もっかいちゅーさして!」

しつこく絡んでくる謙也さんの顔を力一杯押しのけながら、この人俺の童貞貰うて約束確実忘れてるやろって思った。
このまま流れでずっとタチやろうなんか絶対許さん。
でも、暫くはこのままでええかなって思ったんは死んでも口に出さんとこ。



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非常にあほらしい話ですみません。妄想満開です。
いや普通にち○こは謙也くんのがでかいと思うよ。でも話の都合上こうなった。
光謙要素が混じってるのは最近光謙読み漁った所為です。どっちも好きだ!
後最初から光をビッチ風にしてすません。でも素質ある人は最初から良いって聞いたし…。
次はもう長年連れ添った二人の慣れたエロとか書きたいです。


10.06.28